風はあったほうがよいが、強すぎてもいけない?


葉の周辺に出来た「葉面境界層」の概念図

 

 


ハウスに設置されたエアプリンセス

 

移動ベンチ栽培や、ハイワイヤー誘引などを取り入れた空間集約型のハウス、また最近増えている防虫ネットを張ったハウスでは、作物の葉周辺の自然換気が悪くなり、空中での湿度はそう高くなくても、葉の表面には湿度が95%以上、厚さが1cm以上にもなるという高湿度層(葉面境界層)が出来ています。


この層が出来ると、病原菌の繁殖が活発になるほか、光合成の際の酸素と二酸化炭素とのガス交換も妨げてしまい、品質低下や収量の低下につながってしまいます。

このような場合には、循環扇を設置することにより、葉の周辺に気流を発生させて葉面境界層を破壊する事が出来ます。しかし、この「風」にも、意外と気難しい一面があるようです。

ヨーロッパでの風と光合成・蒸散との関係を調べる研究によると、ほとんどの作物に対して、葉に対する風速が毎秒0.8〜1Mを越えると、ストレスを受けて乾燥傾向となり、気孔が閉じて光合成速度が低下してしまうことが判明しました。つまり、風はあったほうが良いが、強すぎても逆効果となるのです。

エアプリンセスなどのハウス用循環扇は、ヨーロッパの規格で、作物周辺での最大許容風速を0.7Mに設定して作られており、生育に最適な気流を発生させます。

トマトに風速0.5Mの気流を昼夜与えた場合の試験では、無風状態の試験区に比べて、収量は約15%増加し、条腐れ果の発生率は約55%に低下しました。

またキュウリの光合成について、日射と風速の関係を調べる試験では、0.7M以下の風速で低日射時の光合成速度は高日射時と同程度まで上昇しました。

気流を発生させるメリットは、病害の抑制はもちろんのこと、より密植を可能にして反収を上げたり、揃いを良くして品質を向上させることにあります。


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