収量・品質向上を実現するグロダンロックウールの栽培管理(中編)


グロダンによるパプリカ栽培

 

 

 

 


トマトの管理作業 

 

 

 

 

 


グロダン水分計によるスラブ測定

 

 


前回に引き続き、グロダンロックウールの栽培管理について掲載します。
今回は、具体的な管理方法について紹介していきます。

4)スラブ内水分をコントロールする

日本に輸入されているグロダンスラブは、マスター・タレント・クラシックの3種類です。
マスターとタレントは繊維方向が水平に統一されており、マスターについては
上下で密度を変えてあります。タレントは繊維方向が垂直方向に統一されています。

グロダンスラブは、どの規格でも3%が輝緑岩を原料とする「繊維」で、
残りの97%が「空気」、すなわち「隙間」という形で成形されています。
これを繊維の太さや方向を変えることにより性格分けをしています。

グロダンスラブに水を満水状態(最大保水量)にしたとき、
マスターとクラッシックで80〜85%、タレントで75〜80%となります。
タレントは保水量が少なく、より気相傾向であることが分かります。
スラブ内水分と最大保水量は、灌液方法によって変化させることが出来ます。

そして、1日の時間帯、又は年間の季節によりスラブ内の水分を変化させることにより、
栄養生長と生殖生長のバランスをコントロールし、収量と品質を向上させ、
過繁茂を防いで、葉かき・芽かきなどの労力を低減
させることが出来ます。

1日の中で、日中と夜間のスラブ内水分量差を小さくすると栄養生長が促進され、
大きくすると生殖生長が促進されます。また、蒸散量の多い夏期には水分を
高めに管理し、冬期には低めに管理します。この具体的な数値については、
主要作物においてかなりの部分が解明されつつあります。

手法的には、1日の総灌液量を同じとした場合、1回の灌液量を少なく、回数を
多くした場合、スラブの保水量は大きくなります。反対に、1回の灌液量を多く、
回数を少なくした場合、スラブの保水量は小さくなります。

また、灌液開始時刻を早める、又は灌液終了時刻を遅らせることにより、
スラブの保水量は大きくなります。反対に、灌液開始時刻を遅らせる、
又は灌液終了時刻を早めることにより、スラブの保水量は小さくなります。

ただし、スラブ内水分が40%以下に下がってしまった場合、通常の
点滴灌液では水分量を上昇させることが出来なくなるので、注意が必要です。

前の項目で廃液の意味について、重要なのはタイミングであると書きましたが、
廃液はスラブ内水分が最大量に達した現象であり、例えば、早朝や夕方の
灌液時に廃液が出ている時に通常の灌液を続けた場合、明らかにスラブは慢性的な
過湿状態(=酸欠)を維持しているとなり、根が病原菌などに犯されやすい、
危険な状態である可能性が高いです。逆に蒸散のピーク時に廃液が
出ていない状態も、スラブ内ECが急激に上昇してしまい、危険です。
廃液はスラブ内の状態を、唯一目で確認できる現象であるといえます。

作物の状態・ステージ・気候・温度・現在のスラブ内水分を考慮し、上記の手法を
組み合わせて、1日及び年間の灌液プログラムを決定します。この水分管理を行って、
はじめてグロダンスラブの優れた特性を100%引き出せるといえるでしょう。

グロダングループ及びオランダ国立試験場の共同研究により、1997年〜
1998年にかけて、パプリカの水分管理指標が解明され、収量の向上と共に
尻腐れ抑止など品質の向上、剪定など管理労力の大幅な削減が実現し、
オランダ国内のパプリカ生産に大きな影響を与えました。


5)スラブの状態を迅速かつ正確に把握する

ヨーロッパのグロダンユーザーや指導者の間では、水分計(Water Content Meter)
が必携ツールとなっています。これはEC計など汎用の測定器とは異なり、まさに
ロックウール栽培のために開発された専用測定器具といえます。

主な機能としては、スラブ内水分(%)・スラブ内EC(ds/m)・スラブ内温度(℃)を
同時に測定し、信頼性の高い数値を高速に表示します。
(1回の測定操作で3回測定を行い、結果の平均値を演算表示する)

前の項目で水分管理の概念について紹介しましたが、季節の変わり目など、
日毎の気象変化の激しい時期などでは、この器具で測定を行い、スラブの
状態を把握することは、栽培管理上、大きなアドバンテージとなります。
作物の生長バランスの変化や水分ポテンシャルのバランスの変化
を事前にキャッチし、次に来る作物の状態を予測する
ことが出来ます。

このような気象の不安定な時期には、1日に圃場内の多くの箇所を複数回測定し、
リアルタイムで灌液管理に反映させる必要があります。しかも、この一連の作業を
日常業務の中で行わなければならないのです。これを可能にするとすれば、
この水分計を利用することがただ一つの選択肢となるはずです。


次回へ続きます


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