東海物産株式会社

「お客様と共に前進」する環境対応型企業

昆虫産業

健康食品素材プロポリスを集めるブラジルのミツバチ

「昆虫産業」とは、昆虫の生態を利用する産業です。
ミツバチは蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリスを生産、カイコは生糸を生産、そしてカイガラムシの一種は赤色の染料(ラッカー)を生産します。
これら3種の昆虫は「世界三大益虫」と呼ばれ、長年に亘り産業の一角を担っています。

地球上の生物の種数はおおよそ170万種と言われ、その半分以上の100万種が昆虫です。
昆虫はその種数の分だけ多様な生活を送っています。
近年では昆虫のユニークな形を力学的に解析し工業製品のデザインとして利用する「バイオデザイン」「バイオミミクリー」や、昆虫の増殖力を利用して体内で特定のタンパク質を生産したり、それらを薬の原料にしたり、昆虫自体を人間や家畜の食料として用いるなど多岐に渡って利用されています。

トマトを訪花するクロマルハナバチ

ミツバチやマルハナバチ、マメコバチなどは、花粉と蜜だけで生活できるので「ハナバチ」と呼ばれます。
「蜂による授粉」は、ハナバチが花から花粉や蜜を集めるという習性を利用します。
自然界では蜂は自分の好みの花を訪れますが、施設栽培では作物を餌資源として利用させることで結実させます。
昔は昆虫が生産したモノを利用することが主流でしたが、作物の授粉は蜂の特異的な行動を利用するという意味で異彩を放っています。
ミツバチの巣の飼育方法は15世紀に確立され、現在も露地の果実や施設のイチゴなどの農産物で授粉昆虫として利用されています。
ところが、ミツバチは蜜を分泌しないトマトの花へは効率的に訪花しないという習性を持ちます。
ミツバチを授粉に利用できるかどうかは、作物が蜜を分泌するかどうかで決まるため、トマトの授粉では、人が花を一つ一つ授粉するという膨大な労力が必要とされていました。
ミツバチとは異なり、マルハナバチは蜜を分泌しないトマトからも花粉だけを集めるという習性を持つため、施設栽培を中心に1970年代から利用が検討されてきましたが、マルハナバチは地中に巣を作るため、発見・確保が非常に難しく、多くの研究者により、巣の確保・増殖のための研究が精力的に行われていました。

1988年にデジョン博士を中心としたヨーロッパの研究者らによるマルハナバチの周年増殖技術の確立は、数年のうちに全世界に広がり、農業の革新をもたらしました。

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